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KYOTOGRAPHIEサテライトイベント KG+ 参加展示  豊田有希展 -あめつちのことづて-

基本情報

  • 会期
    2023年04月11日(火) 〜 2023年04月23日(日)
  • 会場
    1階
  • 時間
    12:00~19:00(最終日~17:00)
’23豊田有希展―あめつちのことづて―  表
’23豊田有希展―あめつちのことづて― 裏

あめつちのことづて

時を遡ると約15km離れた漁村から、1日に1度か2度、天秤棒の両端に下げ、行商が魚を売りにきていたという。道のない時代の生活圏は今とは異なるのではないだろうか。 

山の作物は海へ、海で獲れた魚は山へ。 

海と山、互い結う暮らしがあった。 

この黒岩地区は、水俣病の原因となったチッソ水俣工場のある水俣市から約40km離れた山間集落だ。この日常のふとした会話や動作に水俣病の影が現れ、そこに気づくかどうかは私も周囲も本人ですら定かではない。認定、未認定、未申請、公式確認以前など含め被害の人数はいまだ正確にはわからない。そして数で言えば数でしかないない。水俣病の本質は数で数えられるようなことではないだろう。 

利便性を追求しようと社会を発展させていく。その影で失くしたもの、失くそうとしているものがあるかもしれない。 

ただそこにそっと在る、言葉にならない言葉を、天地のことづてに耳を傾け、淡々と見つめたい。 

豊田 有希(とよだ ゆうき)

1987年生まれ。 熊本県熊本市出身。2015年より水俣市在住。 

 高校時代から独学で写真を始め、 2012年から本格的な活動を開始。 その土地の風土や暮らしを見て得るだけではなく感触として得ていきたいと考え、現在は住んでいる地域の周辺を主なフィールドとして撮影を行なっている。 潜在化する人権や差別など社会問題を根底にもちつつ 土地や人物の在り方を同時に表現することを目指している。 

 主な作品に、山間集落の暮らしと水俣病の痕跡を辿った「あめつちのことづて」(2016-)、 2020年7月九州南部豪雨で水損した地域のネガフィルムのレスキュー作業にあたったREBORNプロジェクトを 立ち上げ、 販売売上の経費を除く金額を復旧活動に寄付する目的で作った「ドネーションブックREBORN」 などがある。

豊田有希ホームページ www.yuukitoyoda.com/

 1950年代から続く「水俣病」の被害は、石牟礼道子さんの著書『苦海浄土』やユージン・スミス氏の写真等によって広く知られ、1960~70年代には患者さんたちのチッソ(株)や国への抗議活動も大きなうねりを起こしました。けれど、1997年熊本県知事が水俣湾の安全宣言を行ったことで日本の公害問題の象徴とも言われた「ミナマタ」は私たちの日常意識から遠のいていきました。

 1987年生まれの豊田有希さんが2016年から山間の黒岩集落に通いつづけ、人々とその暮らしを撮影している事、そこに水俣病の影が見えかくれすることは「週刊金曜日」に紹介されるまで知る由もなく、それは驚きでもありました。

 彼女の私家版の冊子に書かれた言葉は鋭く自身を、撮ることを問う思考の過程を記していて、それもまた驚きでありました。

現代に生きる若い写真家の仕事として、多くの方に知っていただきたいと思います。どうぞ、御高覧下さいませ。                          ギャラリーヒルゲート

トークイベント |Talk session(ヒルゲート夜話市民講座Bコース)

4/11(火)  18:00〜19:30

ギャラリーヒルゲート1F|Gallery Hill Gate 1F

豊田有希 (写真家) Yuuki Toyoda(Photographer)

聞き手:本田政昭 (週刊金曜日) Masaaki Honda(Editor)

「そこに在る言葉にならない言葉を撮る」

参加費1,000円(学生500円)  定員30名(要予約) 

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