大槻睦子 個展

基本情報
- 会期
2024年05月28日(火) 〜 2024年06月02日(日) - 会場
1階 - 時間
12:00~19:00(最終日~17:00)
30年ぶりの個展をヒルゲートさんで開いてから2年が経ちました。
信州で理不尽な目に遭った人たちから「託された想い」の中で制作を続けて来ましたが、その間ニュースでは、ウクライナやガザで日々失われてゆく多くの命に接し、また今年の元旦には能登半島が大きな地震に見舞われ、私たちの周りは現在進行形の苦しみに満ちています。
日々、そんな人々を思って制作するのは、自分自身が「痛み」を実感できるかどうかが全てではないか、と考えます。しかし温かく安全な暮らしをしている自分が、それを実感するのはとても難しいです。
2年前に大切な友人を亡くしました。それ以来、私は空ばかり見るようになりました。空を見ていると彼女が見えるような気がするのです。そして彼女の痛みと残された人々の痛みについて考える時、信州もガザも能登半島も、日々の暮らしと繋がっているように感じます。
「自分だけの朝を おまえは欲してはならない」
金 時鐘さんの言葉が沁みます。
大槻 睦子
大槻 睦子 Ohtuki Mutuko
1956年 京都市に生まれる
1978年 京都市立芸術大学美術学部日本画科 卒業
1980年 京都市立芸術大学日本画専攻科 修了
1983年 奈良芸術短期大学日本画コース 勤務(現在も勤務)
創画会准会員
金 時鐘
自分だけの 朝を
おまえは 欲してはならない。
照るところがあれば くもるところがあるものだ。
崩れ去らぬ 地球の廻転をこそ
おまえは 信じていればいい。
陽は お前の 足下から昇つている。
それが 大きな 弧を描いて
その うらはらの おまえの足下から没してゆくのだ。
行きつけないところに 地平があるのではない。
おまえの立っている その地点が地平だ。
まさに 地平だ。
遠く 影をのばして
傾いた夕日には サヨナラをいわねばならない。
ま新しい 夜が待つている。
(詩集『地平線』自序)