水上勉先生 没後20年 追悼展

基本情報
- 会期
2024年09月03日(火) 〜 2024年09月11日(水) - 会場
1階, 2階 - 時間
12:00~19:00(最終日~17:00) - 休館日
月曜日
故 水上 勉(書画・骨壺・著書)
1919年 福井県若狭生まれ。9歳の頃から京都の相国寺、後に等持院で侍者の生活を体験。立命館大学文学部中退。
文学を志し、1940年上京、「新文学」同人となる。戦後、様々な困難を経ながら1961年「雁の寺」で直木賞受賞。「飢餓海峡」他、多くの傑作を著し、菊池寛賞、毎日芸術賞他多数受賞。芸術院会員、文化功労者に選ばれる。
一方、文学以外にも、故郷の若狹に「若州一滴文庫」を創り、竹紙を漉き、竹人形芝居を考案する等、多彩な活動を展開。1989年、北京で天安門事件に遭遇。帰国直後心筋梗塞の発作に倒れるも、創作活動は多岐にわたり、書画や陶芸でも多くの作品を残した。
2004年、長野県八重原の勘六山房で死去。
<御出展作家>
・秋野 靱子(絵画)
1940年、日本画家澤宏靱と秋野不矩の長女として京都に生まれる。京都市立美術大学日 本画科中退、武蔵野美術大学日本画科卒業。1970年、夫、長女と共にアルゼンチンへ移 住。1975年、家族と共に帰国。絵本の取材のため南米のペルーとボリビアへ旅行。1994 年、ボリビア民話『太陽と月になった兄弟』(福音館書店)。1998年、アルゼンチン民話 『こがねのあしのひよこ』(福音館書店)。
・荒井 まき子(絵画)
水上先生が晩年を過ごされた信州東御市に生まれ、京都で画家として活躍されたことから水上先生との交流が深まった。京都教育大学美術学部西洋画修了。示現会会員、審査員。京都国際交 流総合展 顧問。日本美術家連盟会員。
1970年大阪府生まれ。書や絵を描き、語りをし(一滴文庫でも)、エッセイ、国内外の旅行記、絵本のためのお話を書くなど、豊かな表現活動を展開している。『7つのピアソラ』『月人石』他著書多数。
・甲斐 扶佐義(写真)
1949年大分県生まれ。’60~’70年代カウンターカルチャーの拠点であったほんやら洞を長年経営。現在は内外の芸術家等をひきつけてやまない酒場八文字屋のマスターとして暮らす一方、写真家としても国際的に活躍。京都美術文化賞、京都府文化賞功労賞受賞。
・加藤 登紀子(書)
1943年、旧満州ハルビン生まれ。東京大学卒業後、歌手として多数の名曲を創り活躍。一方、書・陶の制作や著作も多数あり、現在は亡夫の志を継いで鴨川自然王国での農業の運営にも力を注いでいる。
・小林 勇超(弘幸)(陶)
1944年生まれ、神戸で育つ。水上先生に誘われ、若州一滴文庫と勘六山房の窯を作る。自身は、信楽で陶芸家として活躍。日本工芸会正会員。
・小山 久美子(竹紙)
1951年青森県津軽生まれ。’92年、近くに勘六山房を構えた水上先生に誘われ、竹紙を漉き始める。以後、晩年の先生の身辺雑事を手伝いつつ、勘六山房の竹紙制作を担う。
・角 りわ子(陶)
1961年鳥取県境港生まれ。同志社大学美学芸術学専攻卒業後、京都工業試験場陶磁器研修本科・専科修了。西山窯にて4年間修業。’93年タイでの技術指導から帰国後、水上先生に誘われ信州勘六山房へ。水上先生の骨壺制作を手伝いつつ勘六山の山土で自らも作陶。
・田島 征彦(型染・シルクスクリーン)
1940年大阪府堺市生まれ。高知育ち。染色家や版画家として活躍する一方、『じごくのそうべえ』他多くの絵本でも受賞多数。水上勉、秋野不矩等とともに5人展を開くなど交流。著書多数。
・司 修(絵画)
1936年群馬県前橋生まれ。画家、装幀家、作家として活躍。水上先生の著書の挿絵、装幀を手がけるなど、画家、小説家として深い親交をもった。小説家として川端康成文学賞、毎日芸術賞。 大佛次郎賞。画家として河北倫明賞他。著書多数。
・故 船山 滋生(絵画・彫刻)
1948年、作家船山馨の次男として東京に生まれる。東京造形大卒。佐藤忠良氏を師として彫刻を作る一方、絵画も制作。朝日新聞「声」欄のカットを’99年から亡くなる2ヶ月前まで描きつづけた。2011年5月、長野県八重原で死去。
・故 松本 全廣(画・陶)
1952年 東京生まれ。
1968年 篆刻を始める。同時に版画、絵画など制作。
1996年 長野県北御牧村に転居。游印肆玩古堂として各地で展示会活動。
2008年 大動脈解離により死去。
・松本 冬美(版画・立体)
1953年、横浜生まれ。’82年東京芸術大学卒業。版画、ドローイング等を制作。’96年、夫全廣とともに八重原に転居、夫の死後もその工房での制作をつづけている。
・向坂 典子(陶)
1966年、静岡県焼津生まれ。1988年京都芸術短大専攻科卒業と同時に水上先生に誘われて一滴文庫に住みこみ、同年のギャラリーヒルゲートオープン時にも先生と共に出品。以後、一滴文庫の裏山に水上が起こした若州赤土舎の工房で今も、若狭の土を使って作陶をつづけている。
・山本 宣子(陶)
水上先生を囲む陶芸グループ「赤土舎」のメンバーとして、198
8年の ヒルゲート開廊展にも出品。その後、ギャラリー「器屋めなみ」を「水上勉展」をもって開廊(2019年閉廊)。
1978年、枚方市の職員として企画した「生きることについて」と題する連続講座の講師をお願いしたのが、水上勉先生との出会いでした。その10年後、かすかなお付き合いしかなかった先生から「あなたの実家は画廊向きの場所にあるから、お母さんの老後の生活のためにも画廊に転業しては?それなら近頃作っている書画や骨壺を展示しますよ」と突然提案されたのです。それで、美術のことなど何も知らない母娘が画廊を始めることとなり、7年が経った’95年からは先生に関わる作品展を2年に1度開催させていただくことになりました。
生前、そして没後も先生は多くの教えと出会いを授けて下さいました。今回御出展下さる方々の中にも先生との出会いで人生が変わった方が何人もいらっしゃいます。作家、水上勉先生は書物の中だけでなく、現世に生き、変革をもたらそうとする優れて思想的な人だったのだと思います。御命日の9月8日の前後に、先生と出会った14人の作家の作品と先生御自身の遺作を展示して偲ぶ場としたいと存じます。どうぞ御高覧いただきたく、御案内申し上げます。
ギャラリーヒルゲート
夜話市民講座
9月7日(土) 18時~20時 ギャラリー1F
参加費1,000円(学生500円) 定員35名(要予約)
「水上勉先生没後20年、水上先生の思い出」
長女の水上蕗子さん他、今回御出展の方数名がお話下さいます。